- 地球を想う 「環境守り利益」の仕組み重要
記事提供:月刊 地球環境
―大学で環境問題を教えています。なぜエコ検定を
実は学生から挑戦を受けたんです。ゼミ生にエコ検定がスタートすると紹介したら、何人かが受験することになり、そのうちの一人が「私たちも勉強するから、先生も受けてくださいよ。勝負しましょうよ」という話になってしまいました。「今更・・・」と思いつつも、勉強しなおし最終的に学生の挑戦を受けてたつことになりました。
―環境を学ぶ大学生にとって、エコ検定はどう位置づけられるのでしょう
環境問題は範囲が広いうえに内容も複雑でかなりの専門家でも全体像を把握するのは事実上難しいといって過言ではありません。だから、環境について学ぼうにも、どこから手をつけていいかわからないというのが多くの学生に見られる現象です。そうした中でエコ検定のテキストは、初心者にも環境問題を体系的に勉強していく手がかりを与えてくれる、そういう役割をしているように感じます。
―範囲が広く複雑ということは教える方も大変では
経済とか法律といった伝統のある学問に比べ環境は体系化が十分進んでいない面があります。それと学問領域が広範囲なため、どういう内容をどの程度の深さまで教えたらいいのか、いわば講義の到達点を示すのが難しい。だが、エコ検定のテキストを読んだら、教えるうえでの一つの到達点を示しているという印象も持ちました。一方で、環境という学問は時間が経っても体系化が完了するとはいえないでしょう。環境問題が持つ本質的な性質からいって、そうならざるを得ないのではないかと思いますね。
―どの分野を専門的に研究してきたのですか
経済成長が環境対策の制度にどういう影響を及ぼしてきたかということです経済成長が始まると、現実問題として環境悪化は避けられないのですが、必ずしも成長とともに環境が悪化する一方ではありません。余裕が出てくると住民も環境について考え始め、国や企業も動かざるをなくなります。一定の段階を経るといろいろな要素が加わって、環境と経済成長は両立するような段階があり得るだろうと考えます。
―環境問題を解決するポイントは何ですか
安全保障や教育などと並び、環境が優先順位の高い政治課題となるのは間違いないでしょう。この問題を疎かにすれば、国とか地方、企業などは時代から取り残される、もっといえば生き残れないだろうと感じます。そうした中でどう解決していくべきなのか、私は環境保全活動に対し、何らかのメリットとか利益を得られる仕組みを社会全体で作っていくことが重要だと考えます。
環境を守る活動をしろと強制してもなかなか続くものではない。仕事や生活の中でどう生かせるかが大事なのです。これが地球温暖化対策を含め、経済と環境を両立させる社会づくりのカギになっていくとみています。
―日本は仕組みづくりが進んでいるほうですか
芽はたくさん出ていると思いますが、普遍的に広がっているかといえばそうでもない。レジ袋の不要な買い物客にポイントを付与する取り組みもまだ一部です。それが生活の中で当たり前になることが望ましいのです。仕組みづくりで重要な役割を果たすのは、国であり地方自治体であり、大きな企業です。企業の国際競争力への配慮など、いろいろな工夫をしながらバランスの取れた制度として定着させることが大きな課題ではないでしょうか。」(武田範夫)
《プロフィール》
原嶋 洋平(はらしま ようへい)
名古屋大学大学院終了。博士(学術)。地球環境戦略研究機関主任研究員を経て、2000年から拓殖大学国際学部準教授。国際協力機構環境社会配慮審査会委員なども兼任。愛知県出身。
【月刊 地球環境】産経新聞社の環境総合誌(発行:フジサンケイ ビジネスアイ)で創刊は1970年。地球温暖化、廃棄物とリサイクル、化学物質、公害など広範な環境問題について、中央省庁、企業、自治体、市民の4つの視点から報道。新聞情報だけでは分からない問題の全体像を深く掘り下げ、環境問題に関心のある方には必読の雑誌。問い合わせは、編集部03-3273-6045、申し込みはURLへ。
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