エコユニット

環境リテラシーを身につけよう!

SATOYAMA
環境システム研究室

飯島 明宏

Profile

活動エリア 群馬県
eco検定合格年 2010年(第8回)
職業 准教授
所属団体 高崎経済大学 地域政策学部 地域づくり学科
年齢 37歳

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自己紹介/研究室紹介

 私は大学教員として、教壇に立っています。
 高崎経済大学の地域政策学部には、地方公務員を目指す多くの学生が全国から集まってきています。私の専門は環境科学です。21世紀を担う若者たちを、環境リテラシー(環境問題への正しい理解と態度)を有する人材へと育てていくことが私のミッションだと思っています。
 私の研究室には、学部生(2年生から4年生)と大学院生を合わせて37人の学生が所属しています。エコユニット「SATOYAMA環境システム研究室」は当研究室の別称です。これまで、大気や水を対象とした環境研究を重点的に進めてきましたが、最近では文部科学省科学研究費の助成を受けて環境教育分野の研究にも力を入れています。研究活動を通じて、学生には“科学する”ことの楽しさに気づいてもらいたいですね。自然環境と人間社会は不可分な関係にあります。そのことをシステムとして科学的に捉えることができるようになれば、環境リテラシーは自ずと身につくのではないかと思います。

eco検定へのきっかけ

 本学では2年次前期に研究室への配属が決定しますので、卒業研究に取り掛かるまで、十分な準備期間があります。とはいえ、環境学は理系分野だと誤解している文系出身学生も多く、心理的な障壁を取り除くのには苦労します。地球で起こる様々な現象を理解するには、確かに自然科学の知識・理論体系が求められます。しかし、問題の原因究明と解決方法の探求が環境研究の本質ですから、むしろ社会科学の領域のほうが広いかもしれません。環境学が文理融合型の境界領域にあること、そして俯瞰的な視野が求められることに、eco検定は気づかせてくれるような気がしています。
 当研究室では卒業研究に取り掛かる前の区切りとして、3年生の前期に全員がeco検定を受験することにしています。これまでに、47人(4期生までの全員)が合格をいただいています。

エコユニットとしての活動

 大学には「教育」と「研究」というふたつの役割がありますが、最近では「社会貢献」も重視されています。当研究室では、エコピープルである大学生がインストラクターとなって、地域の子供たちの環境学習を支援する活動を行っています。ここでは、河川を利用した体験型環境学習プログラム『地域の河川を調べよう!』の実践例をご紹介します。
 用いる教材は、「水生生物カード図鑑」と「フィールドノート」です。いずれも当研究室で開発したオリジナルの教材です。このプログラムでは、まず河川に生息する水生生物の探索を行い、カード図鑑を用いて種を同定した後、フィールドノートを用いて簡易な水質判定を行います。カード図鑑は水生生物の汚濁耐性(きれいな水にすむ、ややきれいな水にすむ、汚い水にすむ、とても汚い水にすむ)に応じて青、緑、黄、赤に色分けされており、水質判定をしやすくするための工夫をしています。大きさはポケットに入る名刺サイズで、表には生物名や同定の際にポイントとなる形態的特徴を写真とともに付しています。また、環境省と国土交通省が実施している全国水生生物調査における指標生物であることや、群馬県版レッドリストに掲載されている種であることを示す重要生物種のアイコンも表示しています。裏面には水生生物の生態や同定に注意すべき形態的特徴の詳細な解説を記載し、より専門性の高い考察を行う際に役立つ情報もまとめています。このカード図鑑は、カードゲームが大好きな子供たちに大変好評です。分厚い図鑑よりも、子供たちの好奇心に響いているようです。
 2014年は、群馬県高崎市内の小学校5校、藤岡市内の小学校2校を対象に、延べ200人超の児童に対してこのプログラムを実践しました。最近は、安全管理の面から子供たちが川で遊ぶことが避けられる傾向にあります。環境教育分野において大学が果たすべき役割は何か?そのひとつの解が、このような形での社会教育としての学びの場の提供であろうと考えています。

エコユニットとしての今後の活動計画

 私たちが豊かな自然の恵みを享受し続けるためには、原生的な自然を維持するだけでは十分ではありません。自然と人間の共生を通じて形づくられた「里地里山」のような二次的な自然環境にも目を向け、持続性のある保全策を模索していくことも重要です。自然環境と人間社会は不可分な関係にあることを理解するための教育啓発活動を、これからも継続していきたいと考えています。「SATOYAMA環境システム研究室」という名称は、このような思いを込めたものです。
 さて、私たちは大学ですので、教育と研究の成果をエコユニットとしての活動に結びつけるスタイルを強く意識していきたいと考えています。体験型の環境学習は楽しむことが第一でよいのですが、同時に学習の効果はきちんと担保されるべきです。そのためには、参加者の声を統計的に分析し、よりよい教材開発にフィードバックするプロセスが不可欠です。また、体験型のプログラム以外にも、セミナー型、ワークショップ型、E-ラーニング型など環境学習のアプローチは多様です。子供から大人まで、生涯にわたって継続できる環境学習のプログラムを開発し提供できるよう、私たちは研究活動に力を入れていきたいと思います。

社会へのメッセージ

 普段、学生と接する中で感じることがあります。クリティカルな視点をもった学生が少ないのです。たとえば、“電気自動車はゼロエミッションである”といったステレオタイプなイメージを鵜呑みにしているのです。充電する電力はどのようにして発電されているのか、バッテリーに使われているレアメタルはどのようにして供給されているのか、ライフサイクルをトータルで捉えればゼロエミッションでないことは明らかですが、言われるまでそのことに気づかないようなのです。環境負荷を総体として捉え、全体の負荷を削減するためにはどうすればよいか・・・環境リテラシーにはクリティカルなセンスが不可欠だと私は思います。本当かな?と疑ってみる習慣を身につけると、新しい気づきがあるかもしれませんね!

eco検定受験者、学生へのメッセージ

 地球という有限の空間の中で生きる私たちは、便利で快適な暮らしの裏側で深刻さを増している環境問題に対して無知・無関心であってはなりません。冒頭で触れましたが、環境リテラシーとは環境問題に対する正しい理解と態度を意味します。eco検定は環境に関する広範な知識をもたらしてくれますが、知識と理解は同義ではないと私は思っています。得た知識を正しい理解に変えるためには、物事を複眼的に捉えるクリティカルなセンスが必要です。せっかくチャレンジするのですから、知識を詰め込むのではなく、環境問題の本質を見抜くセンスを磨いてはいかがでしょうか。それが正しい理解と態度につながるのではないかと思います。

※この情報は2014年10月30日時点での内容です。
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